きっと,いつの間にか身近になっている「うつ病のはなし」
「軽症うつ」という病名をご存知ですか? うつ病の一種ではあるものの,憂鬱な気分になるなどの精神的疾患をほとんど伴わず,「眠い」「だるい」…などうつ病の身体的疾患ばかりが表れる病気です.また,心を痛めるような出来事にこれといって心当たりがなくても掛かるという特徴もあります.同人活動するなど好き放題やっていたはずの私(リッチ・ミカン)も,この病気を1年程患いました.
掛かってみるまで知らなかった事実がたくさんありました.まず,憂鬱な気分にならないうつ病なんてものがあることすら知りませんでしたし,うつ病に「眠い」などといった精神的ではない身体的疾患がいろいろあることも知りませんでした.そして何より驚いたのが,実はうつ病に掛かっている人は周りに多数いて,一生のうち五人に一人もの人がうつ病を経験するという統計があることでした.
こんなにも身近な病気であるのに,正しい知識は十分に普及しているとは言えません.周囲の人々は辛くあたったり敬遠したり,また本人はそれゆえに病状を悪化させたり正しい対処法を知る機会を得ぬまま何年も経ってしまったり….実にやりきれない思いです.
本書はそんな現状を払拭したいとの願いから制作しました.まず正しい知識を身に付けてもらえるようにと調査した,うつ病のはなしに関する現状やメカニズム,それに患者が実際患う各種症状を紹介することで理解を深めて頂き,同時に過度な不安や気遣いを無くして頂きたいと思います.そして本人はもちろん,周囲の人達への「うつ病との付き合い方」を提案していきます.
執筆にあたっては,軽症うつであった私の視点のみならず,精神的疾患を伴う一般的なうつ病を患っている方の視点も取り入れ,軽症うつに限定された内容ならぬように配慮し,うつ病のはなしを扱う本として広く受け入れられるように心がけました.病気を患っている方も健康な方も,本当はとても身近なところにあるこの病気について今一度考えてみませんか.
カバーイラストについて
うつ病にもっと明るいイメージを持っていただきたいとの思いから創造した女の子です.うつ病の本やWebページというと,人物イラストがあるとしても,何だか憂鬱な表情を描写したもが多いように思え,それはとんでもない誤解を与えてしまうとの思いから,満面の笑みを浮べている様子を描写しています.
■設定
彼女の名前は 陽やまゆり(ひなた やまゆり).都内の学校に通う女子高生.性格は明るく活発である.現代美術研究会という部活に所属し,熱心に活動を行っている.活動内容は,世の中の様々な広告媒体に用いられているテクニックを研究するとともに,文化祭などでは依頼に応じて自らもポスターなどの作品を提供するというもの.
現在うつ病を患っていて、通学途中にある病院へ二週間に一度通院している.表面上は好きだと思っていたはずの部活動だが,気づかぬうちに一生懸命になりすぎて深層心理では疲れを感じてしまっていたのが原因ではないかと考えている.(が,本当のところはよくわからないらしい.)始めは戸惑ったものの,夫がうつ病を経験したという部活動の顧問の先生の体験談やアドバイスにより適切に対応できたおかげで留年といった大事には至らずに済んだ.現在は順調に回復しており,学校へも普通に通学している.
※ この設定は,いくつかの実話に基づいているものの,基本的には架空のものです.
■登場箇所
本文の内容は,彼女の設定とは特に関係ありませんが,ところどころに挿し絵として登場します.ただ全く無関係なイラストというわけではなく,各所の思いを反映したものになっています.
■キャラクターデザイン
かつらぎにや(すとれいらびっと)
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